ICT支援員になって10年目。
SNSでは「学校の先生にICTの技術があれば必要とされない仕事」、「将来性はあるが賃金的には将来性はない」という意見が見受けられます。
確かに10年働いて思うことですが、ICT支援員になりたて(未経験者も含む)の人も、私のように10年働いていても、契約上は賃金は同じという点では賃金的な将来性は難しいと思うことがありました。
学校の先生にICTの技術があれば必要とされない仕事という点も否定はできません。
一方で、勤務3年目にして「ICT支援員は必要ない」と言われつつも、10年働いている点でも、全く将来性がないとは言い切れない気がします。
それで、ICT支援員ハンドブックを読み返してみることにしました。
この冊子は平成25年(2013年)に発行された冊子で、ちょうど10年以上前に発行されたものです。
私は折に触れてこのハンドブックを読み返すようにしています。
ICT機器などはかなり古いものではあるものの、基本的な考えは当時と今はほとんど変わりません。
ICT支援員ハンドブックと、現在の状況を絡めながら、必要とされるスキルを考えていきます。
トラブル即応能力
ICTは「いつもちょっとトラブル」というように、大小含めトラブルが絶えません。
「小さなトラブルは笑って対応、大きなトラブルに真面目な顔で備えよう」が今後の合言葉になりそうです。
このトラブルにはICT機器が動かないというものから、情報関連のトラブル、ヒューマンエラー、子供同士のけんか・争い、犯罪、災害などあらゆるものが含まれます。
ICT支援員に特にもとめられるのは、「教員の指示のもとに迅速な行動ができる」ことです。
しかし先生方もお忙しく、通常も非常時も最優先されるのは生徒です。
そのため、日ごろからコミュニケーションを取っておくのが大事です。
コミュニケーションで一番喜ばれるのは、これから取り上げる現状把握をうまく会話に織り交ぜていくことでしょう。
“現状維持”ではなく“現状把握”
5年ほど前には、「ITトレンドの5年後を予測する」ということを合い言葉にしていました。
しかし今の時代1ヶ月先を予測するのも難しいと思うようになりました。
コロナ、AIの普及など、5年前には全く考えていなかった状況です。
それで見方をかえて、今現状はどうか?ITトレンドもそうですが、教育にもトレンドがあります。
それらをまとめておくようにしています。
現状把握には、今日のICT環境がどうか把握しておく必要があります。
例えば朝出勤した後、ネットワークの速度を測定する。
ちょっと拭き掃除をしつつ、端末のメンテナンスを行う→不具合の台数を確認しておくなどです。
こういった内容を頭に入れておけば、先生方とコミュニケーションをとりやすくなります。
「速度が今日はちょっと良くないみたいですけど、先生のお仕事に支障出ていませんか?」
「故障台数多くなっているみたいいですね」
そんなちょっとした会話に今日の状況を盛り込んでいくと、少しずつコミュニケーションがとりやすくなっていきます。
またこれから長く続けていくには、未来の先生方がどんなICTスキルをもっているかに合わせてサポートしていく必要もあります。
今サポートしている生徒さんが、未来の先生になります。
それで今のICT教育をしっかり身につけるだけでなく、アドバイスできるようになりたいものです。
ICTは孵卵器からエアコンのような存在へ
ICT教育、またサポート役であるICT支援員は子どもたちの成長を促進するいわゆる孵卵器のような存在と捉えられていました。
ある程度はつかっても、成長によって外れていくもの、使わなくなっていくものと思われていた節があります。
ある研修会では「ICT支援員はサポーターのように、ある程度使われたら無くなっていくものです。」と言われて仕事を失う覚悟をしておくようにと言われた時期もありました。
しかしICT機器自体はエアコンのように、あって当たり前、そして故障したら生死を左右しかねない存在のようになっています。
それに伴い、ICT支援員の必要性も上がってきています。
しかし、IT先進国と言われているスウェーデンではICT教育に逆行するような「紙とペン」といったアナログの教育に戻る学校もあり、今後どのような方向でICT教育が進んでいくのか見通せない状況でもありますしかし全くICT教育がなくなるということはないと思います。
エアコンのように自然と教育現場に取り込まれていくことでしょう。
求められる端末は簡便なものになっていく一方で、システムや、ネットワークの複雑さは上がっていくはずです。
それらを教職員だけで管理するのは不可能に近いことでしょう。
それで今後のためにネットワーク、情報セキュリティのスキルを上げておきましょう。
小学校1年生にIT基礎知識を教えられること
以前から小学校1年生にタブレットを渡して授業をしていたのですが、それは貸与されたタブレットや、パソコンでした。それがGIGAスクールになって子供たち1人1台タブレットを貸与されているため、自分でログインできるように助けることが必要になっています。しかし英語も漢字もわからない1年生にどうやってログインできるようにするか最初は悩んだものです。
それで小学校1年生の授業を見学して、技を盗もうと考えました。
まず先生はキーボードを拡大して印刷した模造紙を準備していました。
先生は左手と右手を挙げさせて、左手でこのキーを押す、右手でこのキーを押すというように、感覚的に学べるように助けていました。
そのクラスの児童は、ログインを短時間でできるようになっていました。
また必要と思われるのは「機密性、完全性、可用性」の情報セキュリティを小学校1年性の子供が理解できる概念で教えることです。
情報モラルというと、道徳に近い内容のものとして扱われます。
もちろん情報を発信する面では、他の人の感情や価値観を尊重するといった道徳面に近いことは教える必要があります。
しかし、情報セキュリテイは、玄関を出たら鍵を閉めるというように、考えなくてもできるレベルにしないと続くものではありません。
小学校1年からログインをしている時代、情報セキュリティを簡単な言葉で、考えなくても無意識にできるレベルになるまで学んでもらうにはどうしたら良いか。
それがICT支援員に問われる今後のスキルです。
最終目的地は教職員へのICTアドバイザーになること
ICT支援員ハンドブックでは、教育補助員としての資質のレベルとして「First、Second、Third」の3ステージがあります。
各レベルの位置付けとして
「First→教職員の依頼に応じて業務ができる」というものがあります。
この位置をわかりやすく解説したのが下の記事です。
次に「Second→教職員と連携して業務ができる」というものがあります。
そして最終的に目指すのが「Third→教職員に対して専門的なアドバイスができる」ということです。
しかしこのレベルに達する前に、ICT支援員の大半は辞め、脱落していきます。
仮にこのレベルに達していたとしても、教職員にとっては私たちICT支援員は、FirstもSecondもThirdも見分けがつきにくいため、契約面や、また些細な内容で辞めざるを得ない状況に追い込まれることもあります。
10年目の現実として、それは実感しています。
しかしそれで弱るのではなく、どうしたらアドバイザーとして的確なことができるでしょうか。
これからルーブリック分類を詳しく分けていって、解説をしていきたいと思います。