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理由: 想定外の変化が次々と生じ、従来の情報活用能力だけでは対応できなくなった
「スマートフォン、タブレットコンピュータ……10年前には考えられなかったモノが身の回りにはあふれています。そんな時代に必要とされるのは、情報の洪水に流されず、必要なモノと必要でないモノを見極める力。正しい判断力を持つために、これまでの学校で鍛えてきた「決まった問題をすばやく解く力」だけではなく、「知らない問題が出てきたときに論理的に考え、答えを出す力」、つまり「プログラミング的思考」を育てようとしているわけです。」
https://coeteco.jp/articles/10614
つまりこれから「想定できないことが生じたとしても、情報の洪水に流されず、論理的に考え、答えをだず=正しい判断力を培うために、プログラミング教育を実施しよう」ということです。そしてその力を早い段階から身につけるために、小学校5年生という比較的低年齢から実施されることになりました。
目的:文部科学省が「小学校プログラミング教育の概要1」で掲げる3つの目的
文部科学省の「小学校プログラミング教育の概要1」では次のようなことが書かれていました。
①「プログラミング的思考」を育成すること
②プログラムや情報技術の社会における役割について気づき、それらを上手に活用してより良い社会を築いていこうとする態度を育むこと
③各教科等の中で実施する場合については「教科等での学びをより確実なものにする」こと。
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/05/21/1417094_003.pdf
この目的を達成するために、「プログラミング教育」があります。プログラミングを書くこと(コーディングと言います)や、プログラミング言語を学ぶことがありますが、それ自体は主体ではなく、上の3つを達成するために、「プログラミング教育」があるということです。
位置付け:「プログラミング教育」は「情報活用能力」の一環

情報活用能力には次の3つの能力が必要と定義されています。
A 情報活用の実践力」 情報機器の基本的な操作や、情報を収集・整理・発信するなど、情報
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/05/21/1417094_003.pdf
手段を適切に活用するといった観点。
「B 情報の科学的な理解」 情報手段の特性や仕組みを理解するといった観点。
「C 情報社会に参画する態度」 情報モラルの観点
「プログラミング教育」は「B 情報の科学的な理解」という項目に当てはまります。
コンピュータ、スマホ・タブレットは、「この操作をしたらこの結果を返す」などの操作の指示を出さないと動きません。スマホ、タブレットを操作している時も、私たちは何気なく操作していてプログラミングの存在について気がつきませんが、そこにはプログラミングが必ず存在します。そのプログラミングが実際にどう行われているのかを学ぶのが「情報活用能力」→「情報の科学的理解」→「プログラミング教育」です。
疑問:その後中学校では何を学ぶの?
今までの中学校では「プログラムによる計測・制御」という項目がありました。実際に中学校ではプロロボUSBなどの教材を用いたプログラミングが行われています。 しかし2021年からは、今までの単なるプログラミングだけではなく、「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題解決」という項目が追加されました。
双方向性:情報(文字、音声、画像、動画)などを使用者の働きかけによって応答する機能
成立学園中学校ではMESHを用いた「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツ」を生徒が色々開発していました。

スマホ一台で扇風機も温度も!温度30度以上で扇風機がつき、湿度75%以上で換気しましょうと報告。扇風機がついたら音楽が流れたり、LEDがつく。外出してるとき、部屋の温度が30度越えたら自動で扇風機が!
https://blog.meshprj.com/entry/202110-seiritsu-middle-school
余談:コロナ禍で必要になった「情報活用能力」
2020年1月に「新型ウィルス」「コロナ」という言葉を聞いて、これからどんな状況になるのか、どのような行動が必要になるのかイメージできた人はごく少数だったと思います。
それが感染して体調を崩し、命を落とす人が増えるにつれて、色々な情報がニュースやネットを通じて報道されてきました。
その中には正しく役立つ情報もあれば、誤っていて有害な情報もあります。
しかし「新型コロナウイルス(COVID-19)がどういうウイルスか?」「どんな特性を持っているか」「どんな対処方法があるのか」「国や地方自治体のガイドラインは?」といった情報を集めて、「どういう行動をとればいいのだろう?」と考えてきた結果、一人一人が個人的にできることを「論理的に考え、答えを出す」ことができました。
この経験は「想定外の変化や問題が生じた時→情報の洪水に流されず、正しく役に立つ情報を見極める→判断力を培い、行動する」ということの大切さを身にしみて実感する機会になりました。
またスーパーコンピューター「富岳」で行われたシミュレーションで、見えないコロナを「可視化」することもできました。
屋外でマスクせず会話 飛まつ広がる 「富岳」シミュレーション
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210423/k10012993861000.html
また今までは長時間かかっていたシミュレーションを短時間で行うことも可能になったそうです。
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1263445.html
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1263445.html
まとめ:「プログラミング教育」はプログラマー養成講座ではない
ここまでで小学校5年生という比較的低年齢の児童になぜプログラミング教育をすることになったのか考えてみました。
「プログラミング教育」というと「プログラマー養成講座?」というように考えがちですが、「問題解決のためにプログラミングを活用する」ということなので、注意が必要です。