これはyahoo!知恵袋で出されていた質問です。
興味深い質問だなと思ったのですが、回答が締め切られていたので、ブログで回答記事を作りました。
目次
回答:ICT教育の一部がGIGAスクールであり、ICT教育の最新版です。
なぜそう答えたのか。ICT教育の歴史と、GIGAスクールがなぜ導入されたかをたどっていきます。
1970年代 当時のICT機器は電卓だった?!
1970年代,パソコンはまだ市場では少なく学校では皆無だったようです。その時のIT機器といえば「電卓」電卓がIT機器なんて!と今は思いますが,当時は10万円を超えており,今のネットブックよりはるかに高い製品だったのです。
当時は「そろばん」を使うと頭が良くなると考えられていました。また、電卓を使うために講師が必要だけど、講師がいないという悩みもあったそうです。
1980年代 コンピューター教室が導入され始める
まだパソコンが一般家庭に出回っていない頃、学校ではどれほどの台数があったのでしょうか。
昭和63年3月調査(1988年)によると、教育用/校務用あわせて,まだ105000台しかありませんでした。
その当時の学校数が約40000校だったので,1学校に2.5台あるかないかといった状態だったようです。
また8ビットパソコンから16ビットパソコンに移り変わる転換点でもありました。
また教育の情報化3水準の1段階、2段階目に当たり、その当時の目標は「情報教育の設備化」、1985年からは「学習のための道具としてパソコン」がめざされた時代でした
そのためコンピューター教室が導入された時代でもあります。

教育の方針としては「情報及び情報手段を主体的に選択して活用していくための個人的な資質(情報活用能力)」を、読み、書き、算に並ぶ基礎・基本に位置付け。」としており、今の情報教育についての基本的な考えが確立されました。
また日本ではパソコンの前にワープロが主流だった時期もありました。こちらは学校にどれほど納品されていたのかデータがありませんでしたが,1989年の1年間で275万台売れたとありましたので,もしかすると相当な数が学校にも設置されていたのかもしれません。
1990年代 「技術・家庭」で「情報とコンピュータ」必修化
パソコンが1990年代には平均価格が30万円程度になり,1999年でも20万円だった頃です。
1989年に東芝がノートパソコンを発売し,1995年には現在のノートパソコンの原型が登場しました。その頃、1990年には1世帯にパソコンを持つ率が10%だったのに対し、1999年には30%の世帯がパソコンを持つようになりました。
平成2年(1990年)7月にはICT教育の基本方針としての「情報教育の手引き」を文部省が発行。
私の記憶では平成3年当時中学校に、パソコン教室があり、そこでWindows95を使ってソリティア、ホバーゲームといったゲームをした記憶があります。
またWordとExcelも操作した記憶があります。しかし平成3年(1991年)の調査によると、パソコンが25万台程度の導入だったそうなのでその当時ではICT教育が進んでいた学校だったのかもしれません。
また平成10年(1998年)には中学校の教科「技術・家庭」に「情報とコンピュータ」が必修化されました。各教科や「総合的な学習の時間」等で積極的にICT機器(情報機器)の活用をすることに決まったのもこの年です。
2000年代 学校のインターネット回線が強化される
1999年には「「学校における複合アクセス網活用型インターネットに関する研究開発」[郵政省](300 億円)」
2000年「学校における新たな高速アクセス網活用型イン ターネットに関する研究開発」[郵政省](184 億円) 比較的予算をかけたインターネットに関する研究開発が進んでいきました。
学校で高速インターネットを利活用した授業・校務の試みは、すでに20年前から取り組まれていたのです。
2010年代 学習者(生徒)用のデジタル教科書が紙の教科書と同じ扱いに
2018年の法律改正により、2019年度から紙の教科書に代えて使用できることになりました。しかし、これは紙の教科書と完全に同一な内容である必要があり(ます)。
https://www.mirai-school.jp/platform/column/1839/
しかしこれは学習者(生徒)用の場合です。
実は2002年からデジタル掛図として、東京書籍が指導者(先生)用のデジタル教科書を発行していました。そして今にいたるまで発行しているのですが、指導者(先生)用のデジタル教科書は学習者(生徒)用とは大きく違います。
それは動画、音声があるということです。それで指導者(先生)用のデジタル教科書は教科書ではなく、教材として扱われています。
また学習者(生徒)用のデジタル教科書にも動画、音声が使われますが、それはデジタル教材として別の扱いになっています。
2020年代 コロナ禍でGIGAスクールが1年前倒し
1人1台端末環境は、もはや令和の時代における学校の「スタンダード」であり、特別なこと ではありません。これまでの我が国の 150 年に及ぶ教育実践の蓄積の上に、最先端の ICT 教育を取り入れ、これまでの実践と ICT とのベストミックスを図っていくことにより、これからの学校教育は劇的に変わります。
2019年12月9日付
文部科学省「子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育 ICT 環境の実現に向けて」
この施策の狙いは、地域によって格差のあるICT教育を画一化し、また先進国でも最低と言われる日本のICT教育を向上させる目的がありました。

そしてこのGIGAスクールは令和5年度(2022年)に全ての小中学校で1人1台コンピューターを配布する予定となっていましたが、コロナ禍で学校で授業を受けられないという緊急事態が起き、急きょ1年前倒しでの施行となったのです。
まとめ:これからのICT教育は「端末整備」→「人材整備」が急務
2021年12月現在
・学習者用端末が整備済みの自治体:96.2%
・学習者用端末1台当たりの児童生徒数:昨年3月の6.6人から今年7月には1.0人
まで整備が進みました。
しかし実際にその端末の活用状況を総務省がアンケート調査したところ
「積極的に活用しようとする教職員もいれば、従来からの板書スタイルを最適と考える(あるいはスタイルを変えるつもりはないと考える)教職員もいる。 」
「個々の教員によってICTに対する温度差が激しく、全体的な活用がなかなか進まない。校内組織も整ってい ないため、一部の教員に負担が集中している。」
という回答が返ってきました。
国としてはこの状況の対応として「リテラシーの高い教員に負担が集中することのないよう、教師の日常的なICT活用の支援等を行う「ICT支援員」や、1人1台端末環境における初期対応等を行う「GIGAスクールサポーター」の配置促進、ICT活用に関する専門的な助言や研修支援などを行う「ICT活用教育アドバイザー」の派遣を行っている」と回答していますが、実際のところ、ICT支援員だけとっても、当初の目標の8000人をはるかに下回る3000人程度しかいない現状です。
そのため、これからのICT教育は「端末整備」→「人材整備」→「教職員のICTスキルアップ」→「学習者(生徒/児童)のICTスキルアップ」につながっていくような対応が必要となっていくでしょう。
現在のICT教育については下の記事をご参照ください。
