GIGAスクールが始まって早1年9ヶ月が経とうとしています。(2021年12月現在)
ICT支援員の私はGIGAスクールサポーターという制度が導入されたと聞いて最初戸惑いました。戸惑いの後は,「私の仕事はどうなってしまうのだろう?」「ICT支援員の仕事とGIGAスクールサポーターとの棲み分けはできるのだろうか?」と不安にもなりました。
また1年9ヶ月後の現在,ICT支援員に依頼される仕事とGIGAスクールサポーターに依頼される仕事の差異がなくなりつつあり,これも「ICT支援員としての私の立ち位置は?」と考えさせられる今日このごろです。
その回答に伴う「いつから・誰が主導? どのような目的で?」というポイントで考えます。
目次
GIGAスクール構想は2019年、サポーターは2020年に文部科学省主導で開始
GIGAスクールが閣議決定されたのは令和元年12月5日です。
1.目的GIGA スクール実現推進本部の設置について資料1『安心と成長の未来を拓く総合経済対策』(令和元年 12 月 5 日閣議決定)において、「学校に おける高速大容量のネットワーク環境(校内 LAN)の整備を推進するとともに、特に、義務教育 段階において、令和5年度までに、全学年の児童生徒一人ひとりがそれぞれ端末を持ち、十分に 活用できる環境の実現を目指すこととし、事業を実施する地方公共団体に対し、国として継続的 に財源を確保し、必要な支援を講ずることとする。あわせて、教育人材や教育内容といったソフ ト面でも対応を行う。」とされたことを踏まえ、GIGA スクール実現推進本部を設置する。
https://www.mext.go.jp/content/20191219-mxt_syoto01_000003363_08.pdf
この資料を読んでいくとGIGAスクールのコンセプトが次の三つの点であることが読み取れます。
●生徒一人一人が端末を持つ
●先生,生徒が使いやすく学びやすい学習コンテンツを整備すること
●新たな教育環境を提供すること
またこの構想段階ではGIGAスクールサポーターの概念はなく,ICT支援員などの企業等の外部人材を活用して,指導体制を強化していくものでした。
資料3−1「児童生徒1人1台コンピューター」の実現を見据えた施策パッケージ(案)
しかし新型コロナウィルスにより,急速なICT化が必要になり,その速度についていけるように追加の外部人材の検討がされました。
(リーフレット:追補版)GIGAスクール構想の実現へ(令和2年度補正) (PDF:1.2MB)
この時点で初めてGIGAスクールサポーターの名称が出てきます。105億円の予算が計上されました。

「事業の流れ>各教育委員会等が国の補助金等を活用して、サポーターを募集・配置し、学校における 環境整備の初期対応を行う」
上の内容がGIGAスクールサポーターの定義となっていました。
「GIGAスクールの環境整備の初期対応」がGIGAスクールサポーターの役割です。
ICT教育構想は1980年代初頭 ICT支援員は遅くとも2012年 地方自治体が主導
一方ICT教育,またICT支援員の開始時期については定かではありません。
この記事を書くため調査したのですが、教育の情報化について初めて言及されたのは,1980年前半であり,文部省が主導で本格的にスタートされたのが平成2年度(1990年)であったことがわかるのみでした。つまり「社会の情報化の流れに伴い自然発生したのがICT教育」で,そしてその環境を維持,発展させるために,予算が組まれて行ったのが実情のようです。
またICT支援員についても開始時期がはっきりわかっていません。
しかしICT支援員能力認定試験が発足したのが2013年で、またその前に情報教育コーディネーターという試験が2001年に発足しています。また文部科学省の公式の資料で追える「ICT支援員」についての言及は平成24年度(2012年)のため、遅くともその頃にはICT支援員という名前が公式名称になったことがわかります。
2001〜2012年の期間のどこかで、ICT支援員の前身となる人材が採用され、活用された。そしてその名称が「ICT支援員」になったのだろうということが考えられます。
また文部科学省の予算についても最初に言及されているのは、「平成24年度ICT活用による学びの環境の革新と情報活用能力の育成 7億円」です。そのほかの自治体では「ふるさと雇用再生基金」「地方自治体交付税」などを使ってICT支援員を雇用していました。
また現在でもICT支援員の雇用は「地方自治体交付税」で賄われていることが多く、地方自治体が「主導」権を持っています。

学校における教員のICT活用(例えば、授業、校務、教員研修等の場面)をサポート することにより、ICTを活用した授業等を教員がスムーズに行うための支援を行う。
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/052/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/01/05/1365651_07.pdf
ICT支援員はICT機器を用いた授業支援が主な仕事です。
GIGAスクールで配備された端末を用いた授業も支援します。
まとめ ICT支援員とGIGAスクールサポーターの違い
質問:「GIGAスクールサポーターとICT支援員 違いは何ですか?」
回答:「ICT支援員はICT機器を用いた授業支援が主な仕事。
GIGAスクールサポーターは生徒1人1台ICT機器を配備するGIGAスクールがスムーズに行くように環境整備の初期対応を行う」
授業でICT機器がなくてはならないものになり、それらが良い学びにつながるように活用されること、その助けをするためにICT支援員がいます。
また国が進める「生徒が1人1台ICT端末をもち、それらを活用する→GIGAスクール」この施策がうまく運ぶように初期の対応をする。これがGIGAスクールサポーターの役割です。
ICT教育を進めるため、国が大きな一歩を踏み出したのが「GIGAスクール」これは間違いありません。
しかしそのため教育現場で混乱が起こっているのも事実です。
それは元々ICT支援員が配備されている地方自治体でも起こっています。
ICT機器を用いた授業支援をするのがICT支援員の役割ですが、このことが周知・認知されていないまま、GIGAスクールサポーターが導入されている。
そのことがICT支援員とGIGAスクールサポータの役割を混同させ、単なる端末の設定、整備、管理などの事務作業に追いやることにつながっています。
今回GIGAスクールサポーターとICT支援員の違いを見直すことによって改めて現在の課題を浮き彫りにすることができました。